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日本ヴァレリー研究会ブログ Le vent se lève
ヴァレリーやマラルメ、サンボリストにとどまらず、文学一般、哲学・音楽・美術・映画から世界の姿まで、古き問題と最新の話題をめぐり多様な人々が集う場…... 風よ立て!……
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大浦康介『フランス論2.0』(人文書院、2025年)/ 菅原百合絵
フィクション論などの文学理論研究で知られる研究者であり、パリを味わい尽くしてきた著者大浦康介のあふれ出るフランス愛を感じずにはいられない一冊である。 『フランス論2.0』と題された本書は、研究書ともエッセイとも言えないし、しかし同時にそのいずれでもある。著者は冒頭に、「私とフランスとのあいだにはたしかにいろいろあった」(19頁)と記す。その様子の一端は、『虚実のあわいに——大浦康介退職記念論文集』(大浦康介退職記念論文集編集委員会、2019年)に収録されたインタビューからもうかがい知ることができよう。その「いろいろ」のなかでフランス暮らしの酸いも甘いも噛み分けてきた著者が感じるのは、「日本人のフランス・イメージは、はっきり言って時代遅れ」(19頁)ということだ。彼によると、美食やファッション、シャンソンといった「おフランス」的なイメージは、多少色褪せてきているが、いまだ十分に更新されていない。本稿筆者もかなりそれに近い印象を抱いている。というより、著者の挙げているアラン・ドロンやピアフ、イヴ・モンタンといった名前は、フランス映画やシャンソンとい
5月6日読了時間: 14分
石川清子『マグレブ/フランス 周縁からの文学――植民地・女性・移民』、水声社、2023年 / 青柳悦子
日本では稀有なフランス語マグレブ文学研究の専門書である。著者の30年に及ぶこの分野での粘り強くまた多彩な研究の成果が一冊にまとめられることで、著者独自の文学的問題設定が豊富な情報とともに説得力をもって提示されている。読者は本書によって、マグレブ文学全体の概観を日本語訳のない多くの作品への言及を通じて得ることができるであろうし、その一方で、絵画・映画・音楽の領野にも積極的に踏み込みながら展開される著者の先鋭な議論を追うことで改めて現代文学研究をめぐる洞察を深めることができるだろう。 書評者の怠慢と能力不足のせいで、この著作の刊行からこの書評記事の完成まで3年もかかってしまったが、価値の古びることのない、また類書が出ることはほとんど期待できない貴重な専門研究書であるので、ぜひ改めて広く読者の関心がこの本に注がれることを切望している。 本書を貫く立場は題名に明確に示されているとおりで、「周縁性」という観点からフランス語マグレブ文学(以下単に「マグレブ文学」とする)を掘り下げることである。フランスの植民地であった北アフリカの国々(チュニジア、アル
4月28日読了時間: 20分
小倉孝誠『「フランス文学」はいかに創られたか 敗北から国民文学の形成へ』(白水社、2025年)/ 足立和彦
フランス文学史の教科書といって、真っ先に思い出すのは白水社の『新版 フランス文学史』(饗庭孝男・加藤民男・朝比奈誼編、1992年)だ。それもそのはず、大学院入試の勉強の際、蛍光ペンを塗りまくって勉強したのがこの本だった。随所に長めの引用があって作品の雰囲気を感じ取れるのがよく、おかげであまり退屈せずに通史を概観できたと記憶している。 爾来、幾星霜(大げさ)。仏文学史全体を眺め渡す機会などそうそうなかったので、私の理解は院試のときからほとんど進歩がないままだ。我ながら情けないが、試験勉強って大事なもんだなと今さらながらに思う。文学史の教科書というのも有難いものだ。 そんな個人的感慨はともかくとして、改めて考えてみると、当時は大学院の入試=文学史の勉強、という等式はほとんど自明で、自分が何の疑問も抱かなかったことに思い至る。なるほど、どの時代を専門として研究するにせよ、通史を知っていることは大切に違いないが、しかしそれはそれほど「当たり前」なことだっただろうか。 フランス文学を学ぶということは、その起源(中世)から現代(当時はまだ20世紀だった
4月2日読了時間: 10分
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