2019年12月26日7 分小倉康寛『ボードレールの自己演出──『悪の花』における女と彫刻と自己意識』(みすず書房、2019年)/ 森本淳生本書はシャルル・ボードレール(1821-1867)の詩集『悪の花』(初版1857、第二版1861)に収録された諸詩篇を、「女と彫刻」を切り口としながら、自伝とも虚構とも異なる「自己演出」の試みとして読み解くものである。著者がなによりも注目するのはボードレールの詩篇がしめす意...
2019年12月2日4 分ジャン=マリー・シェフェール『なぜフィクションか?──ごっこ遊びからバーチャルリアリティまで』(久保昭博訳、慶應義塾大学出版会、2019年)/ 立花史文学、マンガ、映画、アニメ、ビデオゲームに対して、歴史上、幾多の“有害論”が巻き起こった。1999年に出版された本書は、そうした有害指定対象を、プラトン以来のミメーシス概念にさかのぼりつつフィクションの名の下に擁護している。ビデオゲームとフランス古典悲劇の両方を、同列ではな...
2019年9月20日7 分カトリーヌ・ポッジの『日記』の1ページから / 松田浩則カトリーヌ・ポッジの『日記』Journal 1913-1934は1987年にÉditions Ramsayから出版されたが、その後2005年、それより小型の版が、注を若干数追加するかたちでÉditions Phébusから出版された。双方とも、序文はLawrence...