2022年1月8日12 分『ルソーと方法』(淵田仁、法政大学出版局、2019年)/ 菅原百合絵「渋沢・クローデル賞」奨励賞を昨年受賞した本書において、著者である淵田氏は「ルソーの方法」ではなく「ルソーと方法」こそが主題なのだと幾度か強調している。一見戸惑うような助詞の選択だが、著者の問題意識が丹念に記述されている序論を読むうちにその意味は感得されてくる。評者なりの言...
2021年12月14日30 分声の交差点——エドゥアール・グリッサン『マホガニー——私の最期の時』書評 / 福島 亮風の交差点で、数々のつぶやき声が書かれた記号にまとわりつき、 その記号は悲痛な行列となって木の実や羊皮紙のうえに並んでいる。 (『マホガニー——私の最期の時』) この果てしない海のように吹きわたる風に一度は溺れてみるんだな…… (『第四世紀』) 0. はじめに...
2021年5月19日8 分『加藤周一を21世紀に引き継ぐために』(三浦信孝・鷲巣力編、水声社、2020年)/ 岩津 航本論集は、2019年9月に日仏会館と立命館大学で開催された生誕百周年記念の国際シンポジウム講演録である。立命館大学加藤周一現代思想研究センター長の鷲巣力と日仏会館顧問の三浦信孝の両氏の編集によって、総勢25名の論考や証言が集められている。事情があって当日参加できなかった私に...