3月9日8 分ジャン・ポーラン『かなり緩やかな愛の前進』(榊原直文訳、水声社、2022年)/ 久保田斉也本書は、ジャン・ポーランによる初期短編の翻訳集である。五つの短編物語が収録されているが、どれも、ジャン・ポーランの執筆活動において、初期段階に書かれた作品となる。ジャン・ポーランは、日本において、翻訳も数少なく、その内実があまり知られている人物とは言い難い。彼は、1884年...
2月6日7 分ヴァレリーの言葉を導きに フランス文学者の白鳥の歌──保苅瑞穂『ポール・ヴァレリーの遺言──わたしたちはどんな時代を生きているのか』(集英社、2021年)/ 安永愛プルースト研究の泰斗として知られ、モンテーニュやヴォルテール、さらにはレスピナス嬢についても優れた著作を残した保苅瑞穂は、奇しくもプルースト生誕150周年にあたる2021年7月10日にパリにて亡くなった。本書は、文芸誌『すばる』2019年9月号から2021年1...
1月28日7 分アラン・コルバン編『雨、太陽、風——天候にたいする感性の歴史』(小倉孝誠監訳、小倉孝誠・野田農・足立和彦・高橋愛訳、藤原書店、2022年) / 安達孝信本書は、Alain Corbin (dir.), La pluie, le soleil et le vent. Une histoire de la sensibilité au temps qu’il fait(Aubier,...