2021年5月19日16 分他者の痛み:『愛のディスクール──ヴァレリー「恋愛書簡」の詩学』(森本淳生・鳥山定嗣編、水声社、2020年)/ 伊藤亜紗『愛のディスクール』を読んで感じた率直な感想は、ヴァレリー研究者としての戸惑いである。私は文学研究ではなく美学の立場からその芸術論を中心にヴァレリーについて研究してきたので、このような伝記的な事実については知らないことばかりだった。もっとも、冒頭に記されているように、本書は...
2021年5月19日22 分『愛のディスクール──ヴァレリー「恋愛書簡」の詩学』(森本淳生・鳥山定嗣編、水声社、2020年)/ 田上竜也かつて厳格な主知主義者と目されていたポール・ヴァレリーの精神世界において、波乱にみちたエロスの劇が重要な役割を果たしていたことが知られるようになって久しい。近年、遺族によるプライバシー管理がいくぶん緩やかになったことにともない、ヴァレリーが女性たちに宛てた書簡を中心とする資...
2021年4月4日18 分事実と虚構の境界──ジャン=マリー・シェフェール『物語の変調──物語プロセスの新たなアプローチのために』/ 久保昭博2020年に出版された最近の著作(Jean-Marie Schaeffer, Les Troubles du récit : pour une nouvelle approche des processus narratifs, Thierry Marchaisse,...