2020年12月13日10 分ジャン=リュック・ナンシー『モーリス・ブランショ——政治的パッション』(安原伸一朗訳、水声社、2020年)/ 上田和彦本書は、Jean-Luc Nancy, Maurice Blanchot— Passion politique, Galilée, 2011を、ブランショのとくに両次大戦間期に詳しい安原伸一朗が全訳し、詳細な註と解説を付したものである。原書は、モーリス・ブランショがロジェ・...
2020年12月7日13 分『女は不死である』、幻の序文 / 立木康介セーヌの岸辺から、しわがれた声のリトゥルネロが聞こえてくる。 ──性関係はない と。いや、それが響いてくるのはむしろパンテオンのほう、だから聖ジュヌヴィエーヴの丘のほうからだ。声はさらにこう続ける。 ──女なるものは存在しない……!...
2020年10月11日12 分Jean-Luc Nancy, La Jeune Carpe (1979)/ 鳥山定嗣ジャン=リュック・ナンシーは風変わりな「哲学者」だ。単に「詩」を書くからというだけではない。ルクレティウスからニーチェまで古来より名高い「詩人哲学者」は存在する。だが、詩人の作品――それも500行以上に及ぶ長篇詩――のパロディを手がけた哲学者は他にいるだろうか。ナンシーが異...