2020年6月19日15 分ラ・グローレ探訪記 / 松田浩則ヴァレリーがポッジ家の領地ラ・グローレを最初に訪れてちょうど百年目にあたる2020年の3月12日、いくつかの幸運が重なってラ・グローレを訪ねる機会を得た。 パリのモンパルナス駅からTGVに乗り、ボルドーのサン=ジャン駅で支線に乗り換え、リブルヌ(Libourne)駅で降りて...
2020年5月26日6 分原大地『ステファヌ・マラルメの〈世紀〉』(水声社、2019年)/ 松浦菜美子本書は19世紀後半のフランス詩人ステファヌ・マラルメ(1842-1898)が自らの時代との交渉の中で「いかにして詩人たろうとしたのか」(p. 11)、その歩みを描き出す試みである。初期の1860年代と詩人が円熟の域に達した90年代とをつなぐ時期として、著者はマラルメ中期と呼...
2020年5月25日6 分「組み立て」小説の面白さ:小柏裕俊『モンタージュ小説論――文学的モンタージュの機能と様態』(水声社、叢書《記号学的実践》、2019年)/ 大浦康介本書はモンタージュという手法に焦点を絞った小説論である。「○○小説論」が面白いことは稀だが、本書は読む者をわくわくさせる。それはおそらくモンタージュ小説そのものが「遊び心」に満ちているからである。それはまた、けっして単純とは言えないその構造を噛んで含めるように解説する著者の...