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日本ヴァレリー研究会ブログ Le vent se lève
ヴァレリーやマラルメ、サンボリストにとどまらず、文学一般、哲学・音楽・美術・映画から世界の姿まで、古き問題と最新の話題をめぐり多様な人々が集う場…... 風よ立て!……
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ブアレム・サンサール『ドイツ人の村 シラー兄弟の日記』(青柳悦子訳、水声社、2020年) / 石川清子
イスラーム救国戦線(FIS)の総選挙勝利をきっかけとする1990年代のアルジェリアは「暗黒の十年」と呼ばれる壮絶な内戦時代だった。日本人を含め、在アルジェリア外国人がいっせいに国外退去したことを記憶に留めている人もいるだろう。複数のイスラーム過激集団による血腥い暴力の応酬の...
2020年9月1日読了時間: 7分
森本淳生/ジル・フィリップ編『マルグリット・デュラス 〈声〉の幻前 小説・映画・戯曲』(水声社、2020年) / 郷原佳以
「幻前」とは聞き慣れない日本語である。本書は小説、映画、戯曲を貫いてデュラスにおける独特な「声」を追究しようとする論集だが、その声は「幻前」するものであるという。もともと2018年にフランス語で行われたコロックを元にしているので、フランス語版(『Zinbun』第50号)を参...
2020年8月7日読了時間: 9分
原大地『ステファヌ・マラルメの〈世紀〉』(水声社、2019年)/ 松浦菜美子
本書は19世紀後半のフランス詩人ステファヌ・マラルメ(1842-1898)が自らの時代との交渉の中で「いかにして詩人たろうとしたのか」(p. 11)、その歩みを描き出す試みである。初期の1860年代と詩人が円熟の域に達した90年代とをつなぐ時期として、著者はマラルメ中期と呼...
2020年5月26日読了時間: 6分
「組み立て」小説の面白さ:小柏裕俊『モンタージュ小説論――文学的モンタージュの機能と様態』(水声社、叢書《記号学的実践》、2019年)/ 大浦康介
本書はモンタージュという手法に焦点を絞った小説論である。「○○小説論」が面白いことは稀だが、本書は読む者をわくわくさせる。それはおそらくモンタージュ小説そのものが「遊び心」に満ちているからである。それはまた、けっして単純とは言えないその構造を噛んで含めるように解説する著者の...
2020年5月25日読了時間: 6分
小倉康寛『ボードレールの自己演出──『悪の花』における女と彫刻と自己意識』(みすず書房、2019年)/ 森本淳生
本書はシャルル・ボードレール(1821-1867)の詩集『悪の花』(初版1857、第二版1861)に収録された諸詩篇を、「女と彫刻」を切り口としながら、自伝とも虚構とも異なる「自己演出」の試みとして読み解くものである。著者がなによりも注目するのはボードレールの詩篇がしめす意...
2019年12月26日読了時間: 7分
ジャン=マリー・シェフェール『なぜフィクションか?──ごっこ遊びからバーチャルリアリティまで』(久保昭博訳、慶應義塾大学出版会、2019年)/ 立花史
文学、マンガ、映画、アニメ、ビデオゲームに対して、歴史上、幾多の“有害論”が巻き起こった。1999年に出版された本書は、そうした有害指定対象を、プラトン以来のミメーシス概念にさかのぼりつつフィクションの名の下に擁護している。ビデオゲームとフランス古典悲劇の両方を、同列ではな...
2019年12月2日読了時間: 4分
佐野泰之『身体の黒魔術、言語の白魔術──メルロ=ポンティにおける言語と実存』(ナカニシヤ出版、2019年)/ 森本淳生
本書はフランスの哲学者メルロ=ポンティの初期から中期までの思想を「言語」とりわけ「文学」の問題を中心に考察し、真理を語る哲学者の「生」とは何かを探求したものである。メルロ=ポンティの文学者や画家に対する言及は夙によく知られているが、著者はより具体的に、2013年に初めて刊行...
2019年9月9日読了時間: 3分
三浦信孝・塚本昌則編『ヴァレリーにおける詩と芸術』(水声社、2018年)/ 中畑寛之
ポール・ヴァレリーが煉獄を脱する... 漸く! そのような悦ばしい出来事を我々は目撃できるかもしれない。2017年10月21・22日に日仏会館で催された同名のシンポジウムを基に編まれた本書を読み終えて最初に想い浮かべたのが、まさしく、ベアトリーチェたちに導かれるひとりの詩人...
2019年9月6日読了時間: 2分
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