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【翻訳】アンリ・ド・レニエ「何者かが〈夕べ〉と〈希望〉を夢想する」(『さながら夢の中』所収)翻訳の試み / 森本淳生・鳥山定嗣

更新日:9月1日

端書き 以下に掲げるのはフランス象徴派詩人のひとりであるアンリ・ド・レニエの『古のロマネスク詩集』(1890)と並ぶ代表的詩集『さながら夢の中』(1892)所収の一篇「何者かが〈夕べ〉と〈希望〉を夢想する」の日本語訳である。すでにモレアスの『情熱の巡礼者』所収の何篇かについては翻訳と註解を本ブログに発表したが、レニエのこの翻訳も、象徴主義運動の一翼を担いながら従来日本ではほとんど訳されることのなかった何人かの重要詩人たちの作品を「具体的に」読み解く必要を痛感している森本と鳥山が、京都大学人文科学研究所象徴主義研究班のいわば「スピンオフ」活動として個人的に行ってきた訳読会の成果である。レニエについては近年、充実した研究書や専門研究誌Tel qu'en songeが刊行されるなど、研究の盛りあがりが見られるが、この翻訳が外野からのささやかな貢献となれば幸いである。(森本記)





























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