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日本ヴァレリー研究会ブログ Le vent se lève
ヴァレリーやマラルメ、サンボリストにとどまらず、文学一般、哲学・音楽・美術・映画から世界の姿まで、古き問題と最新の話題をめぐり多様な人々が集う場…... 風よ立て!……
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3 日前読了時間: 28分
ジャン=ニコラ・イルーズ『マラルメ 諸芸術のあわい』/ 森本淳生
ボードレールが「香り、色彩、音が答えあう」「コレスポンダンス」を歌って以来、19世紀後半のいわゆる象徴主義的思潮においては、文学・美学・音楽といった諸芸術の関係がたえず関心の対象となってきた。日本でも近年、日仏会館で「芸術照応の魅惑」をめぐるシンポジウムが数度にわたって開催...
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2024年12月19日読了時間: 8分
ジャック・ランシエール『詩の畝──フィリップ・ベックを読みながら』(髙山花子訳、法政大学出版局、2024)/ 鈴木亘
哲学者ジャック・ランシエール(1940-)による、詩人フィリップ・ベック(1962-)を論じた著作の邦訳である。ランシエールとは、ベックとは誰か、そして本書の成り立ちや構成、概要については、あとがきを兼ねた「訳者ノート」に端正にまとまっているので、ここでは繰り返さない。以下...
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2024年11月9日読了時間: 4分
クロード・ピショワ/ミシェル・ブリックス『ネルヴァル伝』(田口亜紀/辻川慶子/畑浩一郎訳、水声社、2024年)/ 鹿島茂
日本と違って欧米では翻訳者の地位はかなり低く、本の表紙に訳者名が記されることすらない。そのせいか、フランスで翻訳者から詩人・小説家・劇作家に転じて名を成した人は極端に少ない。詩人のサン・ジョン・ペルス、小説家のヴァレリー・ラルボーくらいか。...
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2024年9月14日読了時間: 9分
宇佐美斉『小窓の灯り——わたしの歩いた道』(編集工房ノア、2024年)/ 大出敦
個人的な話で恐縮なのだが、「宇佐美斉」という名前を初めて目にしたのは、大学三年の時だから、1989年のことだ。大学図書館の書架にあった『落日論』と題された本が目に留まり、私は何気なくそれを手に取って頁をめくってみた。この時、目次をめくってみると、宇佐美先生は、どうやらフラン...
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2024年8月6日読了時間: 16分
川野惠子『身体の言語——十八世紀フランスのバレエ・ダクシオン』(水声社、2024年)/ 寺尾佳子
画面上の情報を目で追うことが日常化したいま、美しい装丁の本を手に取る喜びはたまらないものがある。本書もそう感じさせてくれる一冊である。軽やかに舞うダンサーが印象的なローマの壁画風の表紙は、あとがきによると、著者である川野惠子氏が長年のご友人にリクエストして誕生したらしい。本...
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2024年6月11日読了時間: 24分
モーリス・ブランショ『ロートレアモンとサド』(石井洋二郎訳、水声社、2023年)/ 中田崚太郎
モーリス・ブランショの評論集『ロートレアモンとサド』の新訳が2023年6月に刊行された。評者はブランショを専門的な研究対象として大学院で日々彼のテクストに向き合っている者であるが、今回の新訳刊行の一報に触れた時の驚きと期待の混ざり合った感情をいまだに覚えている。そして実際に...
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2024年3月19日読了時間: 25分
アンリ・ベルクソン『記憶理論の歴史――コレージュ・ド・フランス講義 1903-1904年度』(藤田尚志/平井靖史/天野恵美理/岡嶋隆佑/木山裕登訳、書肆心水、2023年)/ 濱田明日郎
はじめに まずはベルクソン哲学を学ぶものとして、そして次第にベルクソン哲学研究者として、評者はここ八年ほどベルクソンの著作を読み続けてきた。去る2023年10月、ついに発行されたベルクソンの講義録『記憶理論の歴史』邦訳を紐解いた評者は、一ページまた一ページと読み進めるにつれ...
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2024年2月4日読了時間: 6分
ピエール・ミション『小さき人びと——折々の肖像』(千葉文夫訳、水声社、2023年)/ 横田 悠矢
——列車のなかでは心が張り詰めていた。これから本を書かなければならないが、できそうもなかった。 書かなければならない。しかし無気力に苛まれて筆は進まず、もう生きていたくはないが、かといって死のうとも思わない。恋人には素晴らしい原稿ができたと嘘の手紙を出し、実のところはアルコ...
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2024年1月30日読了時間: 15分
大出敦編『クローデルとその時代』(水声社、2023年)/ 西村友樹雄
ポール・クローデルの生誕150周年にあたる2018年を一つの節目として、関連書籍の刊行が相次いでいる。水声社からは論集『ポール・クローデル 日本への眼差し』や図録『詩人大使ポール・クローデルと日本』、ミッシェル・ワッセルマン『ポール・クローデルの黄金の聖框』(本ブログでの書...
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2023年12月28日読了時間: 26分
転覆と反転:ジャック・ランシエール『文学の政治』をめぐって / 市田良彦
【2023年12月23日に開催された、ジャック・ランシエール『文学の政治』(森本淳生訳、水声社、2023年6月刊)オンライン合評会(フーコー研究フォーラム主催)の記録】 ランシエールの書くものは面白い。政治という主題をめぐって、彼との距離の取り方を直接の知己を得て以来30年...
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2023年12月28日読了時間: 14分
文学の政治、芸術の政治 / 鈴木亘
【2023年12月23日に開催された、ジャック・ランシエール『文学の政治』(森本淳生訳、水声社、2023年6月刊)オンライン合評会(フーコー研究フォーラム主催)の記録】 ランシエールは1990年代にかけて「文学論」と呼びうる著作を矢継ぎ早に刊行し――『マラルメ』(1996)...
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2023年12月28日読了時間: 14分
詩人における哲学者 / 熊谷謙介
【2023年12月23日に開催された、ジャック・ランシエール『文学の政治』(森本淳生訳、水声社、2023年6月刊)オンライン合評会(フーコー研究フォーラム主催)の記録】 ジャック・ランシエール『文学の政治』は2023年、森本淳生氏により翻訳、水声社より出版された。2007年...
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2023年11月28日読了時間: 13分
白田由樹/辻昌子編著『装飾の夢と転生 世紀転換期ヨーロッパのアール・ヌーヴォー 第1巻 イギリス・ベルギー・フランス編』(国書刊行会、2022年)/ 鈴木重周
本論集は、エクトル・ギマールやエミール・ガレといった名とともにわが国でも広く知られている「アール・ヌーヴォー」という芸術運動を、十九世紀末から二十世紀にかけての世紀転換期にヨーロッパで誕生した装飾芸術の大陸的スタイルとして改めて位置づける試みである。日本においてアール・ヌー...
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2023年9月1日読了時間: 11分
ジャン・ポーラン『タルブの花』(榊原直文訳、水声社、2023年)/ 西村友樹雄
ジャン・ポーラン『タルブの花』(1941、以下『花』と略記)の邦訳は、ポーランが没する直前に出版された野村英夫の手になるものがすでに存在する(晶文社、1968)。野村訳は、『言語と文学』(書肆心水、2004)にモーリス・ブランショ「文学はいかにして可能か」とともに再録されて...
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2023年7月12日読了時間: 19分
言語と時間の政治学:王寺賢太『消え去る立法者』を読む / 淵田仁
大著である。本論は王寺賢太『消え去る立法者』(名古屋大学、2023年)の内容を簡便に紹介し、その学術的意義を見定めようとする書評を目指していないことをあらかじめ断っておきたい。というのも、すでにいくつかの書評が書かれており、本書の全体像を理解するにはそれらを読むのが有益であ...
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2023年5月31日読了時間: 6分
榎本泰子/森本頼子/藤野志織編『上海フランス租界への招待──日仏中三か国の文化交流』(勉誠出版、2023年)/ 馬場智也
広くフランスにかんする研究において、フランス本国を中心とした関心から視野を広げて、アフリカやカリブ海などの旧植民地ないし海外県に注目するものが盛んとなってからはすでに久しい。日本でもそうした研究に加え、ベルギーやスイス、ケベックといったフランス語圏についての研究の機運はます...
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2023年4月5日読了時間: 5分
ミッシェル・ワッセルマン『ポール・クローデルの黄金の聖櫃──〈詩人大使〉の文化創造とその遺産』(三浦信孝/立木康介訳、水声社、2022年)/ 学谷 亮
ミッシェル・ワッセルマン氏の新著『ポール・クローデルの黄金の聖櫃──〈詩人大使〉の文化創造とその遺産』は、クローデルと日本との関係をめぐってある種の幻想を抱いている読者にとっては、きわめて衝撃的な書物だと言えるだろう。本書で描き出されるクローデル像は、「日本文化の讃美者」や...
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2023年3月9日読了時間: 8分
ジャン・ポーラン『かなり緩やかな愛の前進』(榊原直文訳、水声社、2022年)/ 久保田斉也
本書は、ジャン・ポーランによる初期短編の翻訳集である。五つの短編物語が収録されているが、どれも、ジャン・ポーランの執筆活動において、初期段階に書かれた作品となる。ジャン・ポーランは、日本において、翻訳も数少なく、その内実があまり知られている人物とは言い難い。彼は、1884年...
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2023年2月6日読了時間: 7分
ヴァレリーの言葉を導きに フランス文学者の白鳥の歌──保苅瑞穂『ポール・ヴァレリーの遺言──わたしたちはどんな時代を生きているのか』(集英社、2021年)/ 安永愛
プルースト研究の泰斗として知られ、モンテーニュやヴォルテール、さらにはレスピナス嬢についても優れた著作を残した保苅瑞穂は、奇しくもプルースト生誕150周年にあたる2021年7月10日にパリにて亡くなった。本書は、文芸誌『すばる』2019年9月号から2021年1...
閲覧数:184回
2023年1月28日読了時間: 7分
アラン・コルバン編『雨、太陽、風——天候にたいする感性の歴史』(小倉孝誠監訳、小倉孝誠・野田農・足立和彦・高橋愛訳、藤原書店、2022年) / 安達孝信
本書は、Alain Corbin (dir.), La pluie, le soleil et le vent. Une histoire de la sensibilité au temps qu’il fait(Aubier,...
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